線刻壁画
  石室などに絵画や彫刻を施した古墳(横穴を含む)を装飾古墳といい、全国で600基以上確認されています。装飾は、絵画で描いたもの(彩色)、線を刻んだもの(線刻)、レリーフのように浮き上がらせたもの(浮彫)に分けることができます。浮彫は特殊で九州中南部などにみられます。
 装飾古墳の半数以上が横穴で、装飾の方法としてもっとも多いのが線刻です。
  線刻壁画は、間違いなく古墳時代の人々が描いたものなのか。後の落書きではないのか。これは、研究者の疑問でもあります。最近の落書きならば線が風化しておらず、すぐに区別できます。しかし、ある程度風化した線は、最近の落書きでないことは断定できても、それが果たして古墳時代に遡るものかどうかは明らかにできません。実際に以前から開口していた横穴に壁画が多く、調査によって新しく発見された横穴には壁画がほとんど見られません。それでは、古墳時代の線刻壁画と断定できるものはないのでしょうか。
 まず、古墳時代の人々でなければ描けないものを描いている壁画は、古墳時代のものと考えられています。
 大阪では、高井田横穴群が有名です。

  

高井田横穴群 3-13号横穴の靭(ゆき・矢を入れる道具)も、古墳時代の奴凧形(やっこだこがた)と呼ばれる靭を描いていています。

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高井田横穴群 でのレプリカです。

高井田横穴群 3-5号横穴の家です。上の文字などは、後世の落書きですね。